地震

去年は新潟で地震が有り、今年は福岡で地震ですね。
被災された方に心からお悔やみ申し上げます。
先ほどTVでそれらしい学者先生が、「日本列島は活動期に入った」なんぞと話していました。地震に限らず自然災害って怖いですよね。一生かけてローンを払った家なんぞを数秒の間に壊してしまうんですからね。
神戸も震災後10年が経過して、今年あたりから震災特例が期限切れになって来ています。
2重ローンを支払ってる人も沢山おられるのですが、ここのところの不景気と相まって個人破産する人が多い模様です。
震災当時神戸で父親と家業を営んでいたM氏の場合ですが、地震で住居兼作業所が甚大な被害を受けました。大手住宅メーカT住宅の営業マンの勧めで、一階が作業場、2階が住居、3階が賃貸住宅の建物を建てました。予定としては、建設費を賃貸住宅の家賃収入で賄うつもりだったのでしょうね。住宅の量的不足が続いていた数年間は予定通りだった模様ですが、公的住宅の建設が進み、量的な不足状態が解消されるにつれて空き部屋が目立つようになってきました。そうなると建設費のローンを本業の儲けで支払わなければいけなくなりますよね。悪いことは続くもので、そうこうしているウチに心労も重なったか父親が病に倒れてかなりの額の治療費がかかるようになってしまいました。働いても働いても借金の取り立てに追いまくられて、身体も心もボロボロになってしまいました。
そこでその足かせ手かせになっている建物を売ってしまおうと言うことになって、私どもが調査しました。新築して数年しか経過していないにも関わらず、鉄骨造りの外階段の腐食が目立ちました。よくよく見てみると階段の傾斜が逆勾配になっていて、雨水がはけない様になっていました。10年保証中で有ったので建設した住宅メーカーに修理をしてくれるように依頼したところ、所有者が変更すれば無償修理はできないとの回答でした。そうなると修理してからでないと売れない訳で、その間ローンの重圧に耐えなければいけなくなってしまいます。そもそも、所有権とは、使用、収益、処分の3権を言うのであって、その所有権が誰に移動しようがメーカーの責任は逃れられるものでは有りません。確かに保証証を熟読すれば小さな文字で書かれていましたが、請負契約時にそのような説明もなく、建物が完成して保証証を受け取る時も何らの説明も無かった模様です。
裁判に持ち込んで争う事も選択肢としては有ったものの、時間的な余裕もなく、M氏の選択は、修理代を値引いて売却するか、クレーム修理して買い主に引き渡すかでした。
解決策としては、契約金と中間金とを買い主に頂いて、ローンの重圧から一旦身をかわして、その間(数ヶ月間)にクレーム修理をして買い主に引き渡しました。
多くのローンがそうで有るように、不動産だけを売却しても残債が残ってしまいます。
その後M氏は破産の申し立てをして、免責決定を受けました。
今になって思えば、住宅メーカーとの契約の前に相談を受けていれば、こういう事にはならなかっただろうと思えます。私なら、当時の家賃相場の80%、稼働率60%でローンの返済が可能かどうかを計算します。おそらく、収益計算のさいに、相場家賃&100%稼働で計算したのでしょうね。いくら神戸の市街地に有るといえど、建物が古くなってくると周囲の相場よりも値引きしなければ借りて貰えないし、常に100%稼働してる賃貸住宅の方が少ないという現実を知らなかったのでしょうね。
これを読んだ皆様で賃貸住宅をお考えの方がいましたら、一度現在大家さんをしている人(複数に)尋ねて見てください。「大家業って美味しいですか?」と。