住吉台

batta62005-04-10

おはようございます。
今朝は住吉台を紹介しようと思います。
住吉台は神戸市東灘区の六甲山の中腹に有る団地です。人口が4000人、公的住宅、マンション、一戸建てからなる閑静な住宅地です。六甲山の中腹(一番上で標高200m)というローケーションですから眺望は抜群です。また、ひな壇造成でもあり、各戸の日当たり通風も抜群です。と書けば、良好な住宅地の如く思えますよね。確かに良好かそうでないかは個人で感じる事なので一概には言えませんが、こう言い換えてはどうでしょう。去年までは公的交通機関といえば、市バスが谷底の川沿いを走っているだけで、バス停を降りれば毎日が登山です。団地の中にはミニコープしかなく、それもコンビニと同じ規模です。30年前に団地が売り出された時は「市営バスの路線ができます」と聞いて皆さん買ったそうです。ところが再三の要求にも関わらず30年間その約束は果たされませんでした。JR住吉駅から車で15分というロケーションながら、移動手段には困難を極める地域でした。一番上の方の住民は渦森橋バス停から315段の階段を登らなければ家に帰れないようなところでした。
多分物件が売りに出されるとしたら、「人気の東灘区」「眺望、日照、通風抜群」「閑静な住宅街」などのキャッチコピーが付くのでしょうね。また、重要事項の説明でも、315段の階段などは説明責任は有りません。野生のイノシシが出て住民を襲ったり、ゴミ捨て場を荒らしたり、庭の花や木を荒らすなんて説明しないですよね。現在の宅建業法では、予定の無いバス路線が付くなんて言おうものなら罪になりますけど、30年前なら許されたのでしょうかね。
その住吉台に今年の1月23日からバスが走り出しました。「住吉台くるくるバス」です。
住吉台でも高齢化が進み、もう315段の階段が登れない人が多く出始めました。そこで、住民は自らの手でバスを走らせようと、東奔西走してやっと路線バスを走らせることに成功しました。日本で初めての公的援助の全く無いコミニティーバスです。TVや新聞にも取り上げられて全国的な注目をあびています。バスの運営会社は同じ東灘区の『みなと観光バス』です。東灘交通会議が音頭を取っての成果です。概ね女性の方が長生きであるため、夫が車を運転していたけれど、先に亡くなってしまい、車庫は有れど車は無し状態のお家も有るとか。くるくるバスが走るまでは、最寄りの住吉駅の近所のスーパーまでは、行きは坂道や階段を下りてバスで行き、帰りは荷物も有ることだからタクシーで帰るというパターンだったようです。足腰の弱ったお年寄りなんぞは、行きも帰りもタクシーですね。片道約¥1000のタクシー代は年金生活をしている人から見れば大金ですよね。週に2回買い物に行くとして、月に¥8000、もう馬鹿に出来ない金額ですね。それが、くるくるバスならば片道が¥200、往復しても上手にお買い物すればペイできる金額ですよね。実際、住吉駅の近所のスーパーはくるくるバスが走り出して売り上げが30%伸びたそうです。
不動産業者の案内や説明だけで分からないことっていっぱい有るのですよね。

写真は住吉台の中を我が物顔で闊歩するイノシシです。