白ワンちゃん逝く 〜レクエイム〜

おはようございます。
今朝は久々の書き込みだけど悲しいお話です。
実は同業他社の運転手が一人亡くなったのです。2日の連休だったらしいのですが、お休みが明けても出勤してこなかったらしいです。会社は不審に思った物の、アルバイトだから何もしなかったらしいです。私らドライバー仲間でも顔が見えないので冗談で『彼は一人暮らしだから家で死んでしまってるんじゃないか』なんて噂をしていたのですが、冗談が本当だったのです。彼は内蔵に何かしらの疾患を抱えていたらしくて、もちろん私のことだからアリウムエクセラは勧めたのですが、聞き流す程度にしか受け取っていませんでした。タイトルの『白ワンちゃん』ですが、決して白い犬の事ではなくて、彼の仕事用のタクシーが彼の会社で唯一の白色で、彼の会社のタクシーにはドアの所にワンちゃんのシールが貼っているのです。彼は60歳を少し過ぎていて、生活保護を受給されていました。したがってタクシーでアルバイトをしていることがお役所にバレると支給がストップされてしまうので、日雇い運転手をしていたのです。会社的には運転手が不足しているので、日雇いだろうがアルバイトだろうが、タクシーが動いてお金を稼いできてくれたら良いわけです。今回の一件は会社にとっては良かった訳ですね。日雇いだから、お役所関係には届けていなかった、もちろん健康保険や年金、雇用保険などの解約の手続きもしないで済むから知らん顔の半兵衛でおれるわけです。これが役所の知るところとなればあ、いや、長時間勤務だとか、過労死だとか、労働基準局や陸運局がうるさかったでしょうね。亡くなった人には私を初めとして顔見知りの運転手が、『おっさん、あんたももうエエ年なんやから、身体とそうだんして仕事をせんと、ぽっくり逝ってまうで。』と注意喚起はしていたのです。それが朝早くから夜中まで、一日の労働時間が20時間ほどだったらしいのです。死亡原因は何かは知りませんが、明らかに過労死だと思うのです。私の会社は仕事の時間についてはうるさく言うのですが、もちろん働き過ぎです。彼の会社は全然働きすぎについては言いません、逆の売り上げが低いのはガミガミ言うらしいのですが・・・。タクシーのドライバーでは、古い運転手は『自分がどれだけ給料が欲しいか決めて、それができるまで走ればイイ』なんて言いますが、私はそれはしません。私は一日に決められた時間、13〜14時間を真面目に仕事をして自分の給料がいくらになるか見極めます。つまり労働に対する給料がいくらになるかですね。その額が気に入らなければ他の仕事に変わるとか、足らずを他の収入で賄うとか考えます。まずお金ありきで労働時間を決めるのは本末転倒だと思うのです。今のところ満足しているから続けていますが、満足出来ないような事態が起これば、また転職を考えればいいだけだと思っています。会社側から見ればこんな運転手は嫌なやつでしょうね。でもこれが普通じゃないでしょうか?会社から見れば運転手なんて掃いて捨てるほどいるわけですから、どうぞお好きなようにでいいわけですよね。車の運転なんて今日日誰でもできるし、タクシーの免許なんて教習所へ行けば簡単に取得でるのだから。
おしくなくば、私が河野さんとアリウムエクセラに命を救って頂いたように、彼も救ってあげたかった、慚愧の念がこみ上げてきます。一人暮らしのタクシーの運転手が誰にも看取られずにひっそりと息を引き取って、死後数日経って初めて発見された・・・・・。
土山駅で毎日夜の九時を回ると下手くそなストリートミュージシャンが出没するのですが、夕べは彼が歌う『純子』が亡くなったドライバーへの鎮魂歌に聞こえました。(合掌)