91才のご婦人の歎異。

おはようございます。
先日の事です。私が先頭で客待ちをしてると一人の上品そうなご婦人がドアの前に立たれました。ご婦人は何か書いた物を手にして「パストラールへ行っていただけますか?」私はもちろん、「はい、お送りさせていただきますよ。どうぞご乗車下さい。」と答えました。パストラールとは兵庫県で2箇所しかない介護付きマンションです。駅からはタクシーでワンメーターです。ご婦人は関東からいらしゃった模様で、電車の中で誰かに「タクシーは近いと乗せてくれない。」と聞いたらしいのです。確かに西隣の加古川駅では一部の不良運転手による近場の乗車拒否が有ると聞き及んでいますが、私の待機する東加古川駅では一切そんな事はしません。一度それらしき事が有ったのですが、その時は私が目撃したので、その会社の古株の乗務員に車番を告げて注意してくれるように広義を申し込みました。もちろんその乗務員は古株の乗務員に叱られて、それからはそういうことをしなくなりました。その時もあからさまな乗車拒否ではなくて、客が行き先を告げると、すぐそこだったので、親切心から行き先の場所を教えて、そのお客は歩いて行ったのです。しかしながら、いくら近いと言えども一度車に乗車すると、お客は近かろうが遠かろうが地理不案内なので乗ってきたのだから、それはちゃんとお送りすべきなのです。歩いて行けない距離だからタクシーに乗るとは限らないのです。地理不案内や体調不調で乗られる方も沢山いらっしゃいます。それを距離だけで乗務員が判断すべきじゃないのです。
話は私の車に乗車したご婦人に戻りますが、そのご婦人は終の棲家を見学のために訪れたらしいのです。私に色々質問されたのですが、私の知る限りの情報はお伝えしました。このご婦人は91才ですから、大正生まれでしょうか。お話は現代の若者が一番欠落していることになりました。彼女が言うには、礼儀作法が全くまってくて、日本人の美徳とされる礼儀正しい人が少なくなったと仰有ります。このご意見には私も全く賛成で、私の如き人間ですら嘆かわしいと思うこともしばしばです。礼儀とは相手を思いやっての事であり、誰にも迷惑をかけなければ何をしても良いでは無いのです。つまり、思いやりと同意語なんです。口先だけでお上手を言えば良いのでは無いのです。その口先だけの真似事の礼儀すらできない人も多いのですが・・・・・。
初めて出会う目上の人や、お見合いの席へ平気でジーンズとTシャツで出かける人は、別に誰にも迷惑をかけません。しかし、自分のこれから出会おうとするひとはとっても大事な人であるはずなのに、作業服をそのルーツとするジーンズではその人に対して失礼なんです。何十万円もするジーンズが有ることは私も知っております。これはあくまでその服の値段の問題ではないのです。自分が出会おうとする人への畏敬の念の問題なのです。
私には息子と娘が有ります。結婚相手として初めて紹介されたときに連れてきた人間がそんな格好でもしていようものなら、話や人間性の前に面会を拒絶して追い返します。人はよく『人間は外見じゃなくて中身が問題』などと言いますが、私は逆だと思います。中身の不出来さが外見に表れるのだと思う次第です。私にだって人前にでる予定ではなくて、急遽人前に出る場合も有ります。そのときはまず人前に出るような格好が出来ていなければ、その非を謝罪しております。あくまでこれは『失礼』なんです。それを平気でいられるほど私は図太い人間ではありません。
くれぐれ『人は見かけで判断』ですぞ。